まもなく、10月末日をもって、ぼくが通っているエンジニア養成学校「ジーズアカデミー」の1期が終わる。
7ヶ月前、僕は漠然としたエンジニアへの憧れとそうではない自分へのもやもやした感情を抱いて、入学試験を受けて、ジーズアカデミーの門をくぐった。
そこからの半年がまもなく終わろうとして今思うこと。
僕はエンジニアにはなれない、し、ならない。
ただしこれは、夢が破れたという辛い結末ではない。
むしろまったく逆で、自分のできること、やりたいこと、市場に求められること、の3つの要素の交わる位置を考えたときに、私のそこは「ソフトウェアエンジニア」ではなかったということに体験を経た上で、ようやく納得したということ。
だから前向きというとおかしいかもしれないけれど、これでよかったと思っている。
ジーズアカデミーの同期でKさんという方がいる。
Kさんは30代後半までまったくプログラミングと関係ない人生を歩んできたが、職業訓練校にたまたま通うところを発端に、さまざまなプログラムを自分で組み、今年ジーズに入学。
そして50名の同期の中でも、トップクラスに尖った作品(プログラム)を発表し続けた人だ。
いまでは、ソフトウェアエンジニアとしてフルタイムで働いている。
Kさんを見ていて僕が思ったのは、技術の習得への熱意、ものづくりへの情熱というのが、エンジニアにとって本当に大事だということだ。
僕はKさんと時々話していて、情熱の注ぐポイントが本当に違うなと思った。
しかしだからこそ、世の中はうまく回り、様々なサービスやプロダクト、研究成果が生まれ、組織や共同体が成立しているのだろうと感じたのである。
同じエンジニア能力を身につけようという学校の中でもここまで見ているものが違うというのは、僕にとって納得のいくことだった。
Kさん以外にも、ほぼエンジニアとしての経験がないところから次々とエンジニアとしての転職を決めていく仲間たちを見ていて本当に素晴らしいなと思った。
何より彼らは皆、人間的に尊敬できるし、一緒にいて楽しくて。
僕はエンジニア能力を開花させていく彼らと、ちっとも技術が身につかないで、ハードルの前で倒れてばかりいる自分を対比しつつも、別にそういう自分が、そんなにイヤでもなかった。
僕は4年間ゲーム会社にいて事務職を務め、2年間ソフトウェア会社で営業をしていたが、その間、自分が「つくる」ことはなかった。
つくれなかった。
だからエンジニアに対して尊敬していたが、それは種もしかけもない箱から奇跡を取り出すような感じで捉えていたフシがあると気づいた。
それは、違っていたのだ。
自分で、苦労してコードを学んで書いてみて、他の人のコードを見せてもらって思ったのは、すべて、種としかけがあるのだ。
けれど、種としかけを使いこなすには、そこに熱中し、熟達するプロセスが必要なのだ。
天才という言葉は事実誤認を生みそうなので気をつけないとなのだけど、ひとつ思うのはソフトウェアエンジニアは天才である必要はない、というかもし本当に天才だと、いいエンジニアではないかもしれない。
苦労をしながら技術習得して、そして他のエンジニアやそうでない人との交流から、自らの領域を広げたり、深めたりできるのが、いいエンジニアなのでないか。
話を戻すと。
僕は、エンジニアにはなれないし、ならない。
じゃあ何をするんだ、できるんだというとよく分からない。
だけど。少しだけれどエンジニアの道を、自分で歩いてみたことは、かけがえがないと思っている。
故・岩田聡さんの言葉を、最後に貼りたい。
岩田さんはエンジニアから、経営者という二足の草鞋を履くようになり、そして42歳にして任天堂社長を引き受けた。
僕がもっとも尊敬する人である。
自分にとってのこれからの進み方の指標として、この「労力のわりに周りが認めてくれること」を見つけ、それを楽しめるように、日々やっていけたらと思っている。
好きじゃないけど得意なこともありますし,好きだけど,実はあんまり得意じゃないよっていうことも結構あって。だから,仕事というのは「得意なこと」をやった方がいいんです。好きだけど得意じゃないことに溺れると,仕事っておかしくなることが多いんです。
(中略)
自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり,喜んでくれたりすることってあるじゃないですか。要するにね,「それがその人の得意な仕事なんだ」って話で。逆に,自分的にはすごい努力して,達成感もたっぷりあるのに,周りからは「はあ?」みたいに思われることもあって。それはね,本人が好きだったとしても,実は不得意なことかもしれないんですよ。
(中略)
この話はですね,私は毎年,会社説明会で学生さんにお話しているんです。よく「自分の強みを見つけろ!」みたいな話を学校で言われると思うんですけど,普通は,学生時代に「何が自分の強みなのか」なんて,なかなか簡単には分かんないわけじゃないですか。
(中略)
だから,「“労力の割に周りが認めてくれること”が,きっとあなたに向いてること。それが“自分の強み”を見つける分かりやすい方法だよ!」って,いつも学生さんに喋ってるんですね。「さっさと得意なことが分かった方が,人生はいいぞ!」って話なんですが(笑)
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」
http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141226033/index_3.html
7ヶ月前、僕は漠然としたエンジニアへの憧れとそうではない自分へのもやもやした感情を抱いて、入学試験を受けて、ジーズアカデミーの門をくぐった。
そこからの半年がまもなく終わろうとして今思うこと。
僕はエンジニアにはなれない、し、ならない。
ただしこれは、夢が破れたという辛い結末ではない。
むしろまったく逆で、自分のできること、やりたいこと、市場に求められること、の3つの要素の交わる位置を考えたときに、私のそこは「ソフトウェアエンジニア」ではなかったということに体験を経た上で、ようやく納得したということ。
だから前向きというとおかしいかもしれないけれど、これでよかったと思っている。
ジーズアカデミーの同期でKさんという方がいる。
Kさんは30代後半までまったくプログラミングと関係ない人生を歩んできたが、職業訓練校にたまたま通うところを発端に、さまざまなプログラムを自分で組み、今年ジーズに入学。
そして50名の同期の中でも、トップクラスに尖った作品(プログラム)を発表し続けた人だ。
いまでは、ソフトウェアエンジニアとしてフルタイムで働いている。
Kさんを見ていて僕が思ったのは、技術の習得への熱意、ものづくりへの情熱というのが、エンジニアにとって本当に大事だということだ。
僕はKさんと時々話していて、情熱の注ぐポイントが本当に違うなと思った。
しかしだからこそ、世の中はうまく回り、様々なサービスやプロダクト、研究成果が生まれ、組織や共同体が成立しているのだろうと感じたのである。
同じエンジニア能力を身につけようという学校の中でもここまで見ているものが違うというのは、僕にとって納得のいくことだった。
Kさん以外にも、ほぼエンジニアとしての経験がないところから次々とエンジニアとしての転職を決めていく仲間たちを見ていて本当に素晴らしいなと思った。
何より彼らは皆、人間的に尊敬できるし、一緒にいて楽しくて。
僕はエンジニア能力を開花させていく彼らと、ちっとも技術が身につかないで、ハードルの前で倒れてばかりいる自分を対比しつつも、別にそういう自分が、そんなにイヤでもなかった。
僕は4年間ゲーム会社にいて事務職を務め、2年間ソフトウェア会社で営業をしていたが、その間、自分が「つくる」ことはなかった。
つくれなかった。
だからエンジニアに対して尊敬していたが、それは種もしかけもない箱から奇跡を取り出すような感じで捉えていたフシがあると気づいた。
それは、違っていたのだ。
自分で、苦労してコードを学んで書いてみて、他の人のコードを見せてもらって思ったのは、すべて、種としかけがあるのだ。
けれど、種としかけを使いこなすには、そこに熱中し、熟達するプロセスが必要なのだ。
天才という言葉は事実誤認を生みそうなので気をつけないとなのだけど、ひとつ思うのはソフトウェアエンジニアは天才である必要はない、というかもし本当に天才だと、いいエンジニアではないかもしれない。
苦労をしながら技術習得して、そして他のエンジニアやそうでない人との交流から、自らの領域を広げたり、深めたりできるのが、いいエンジニアなのでないか。
話を戻すと。
僕は、エンジニアにはなれないし、ならない。
じゃあ何をするんだ、できるんだというとよく分からない。
だけど。少しだけれどエンジニアの道を、自分で歩いてみたことは、かけがえがないと思っている。
故・岩田聡さんの言葉を、最後に貼りたい。
岩田さんはエンジニアから、経営者という二足の草鞋を履くようになり、そして42歳にして任天堂社長を引き受けた。
僕がもっとも尊敬する人である。
自分にとってのこれからの進み方の指標として、この「労力のわりに周りが認めてくれること」を見つけ、それを楽しめるように、日々やっていけたらと思っている。
好きじゃないけど得意なこともありますし,好きだけど,実はあんまり得意じゃないよっていうことも結構あって。だから,仕事というのは「得意なこと」をやった方がいいんです。好きだけど得意じゃないことに溺れると,仕事っておかしくなることが多いんです。
(中略)
自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり,喜んでくれたりすることってあるじゃないですか。要するにね,「それがその人の得意な仕事なんだ」って話で。逆に,自分的にはすごい努力して,達成感もたっぷりあるのに,周りからは「はあ?」みたいに思われることもあって。それはね,本人が好きだったとしても,実は不得意なことかもしれないんですよ。
(中略)
この話はですね,私は毎年,会社説明会で学生さんにお話しているんです。よく「自分の強みを見つけろ!」みたいな話を学校で言われると思うんですけど,普通は,学生時代に「何が自分の強みなのか」なんて,なかなか簡単には分かんないわけじゃないですか。
(中略)
だから,「“労力の割に周りが認めてくれること”が,きっとあなたに向いてること。それが“自分の強み”を見つける分かりやすい方法だよ!」って,いつも学生さんに喋ってるんですね。「さっさと得意なことが分かった方が,人生はいいぞ!」って話なんですが(笑)
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」
http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141226033/index_3.html