今日は、フリーランスの立場から、会社員に再びなろうとしている私のいまの想いを綴る。
私は2009年に大学を卒業したあと、2017年まで会社員としてのみ働いていた。そのときからフリーランスに身を転じ、5年間ほど働いてきた。そして2023年からは、ふたたび会社員として勤めることを予定している。
つまるところ「フリーランスから出戻った会社員」ということになるだろうか。
なぜ私が会社員からフリーランスに転じたか。そして、なぜ今フリーランスから会社員に再びなろうとしているのか。以下にお話ししたい。
まず会社員からフリーランスになった理由について。
一言でいえば、「なんとなく」である。
こんな適当に、キャリアチェンジをすることは無謀と思う人もいるかもしれない。いや、私が仮にいま知人・友人のなかで、会社員だけをしてきた人から「なんとなく会社員をやめてフリーランスになろうと思うんだけど」と相談されたら、多分きっと止めると思う(笑)。
ただ、こんな適当な意思決定ができてしまう背景には、そもそも私自身がどういう人間かを考えるという観点が重要かなと今改めて思う。
端的にいうと私は「将来設計が好きじゃないし、できない」人間なのである。
友人の中には、20代のときから「XX歳のときにXXの会社に転職して、XX歳のときにはXXをする」のように明確な人生計画を言語化できる人もいた。彼ら/彼女らと話をすると、かつての私は劣等感を覚えていた。
「なぜこの人のように自分は将来のことを考えて行動することができないのだろうか」と。
それができたら、もっと良い人生にできる/できたのではないか。そう思っていた。
だが、今時点からすると、私のこの考えは「隣の芝が青く見える」だったのかなと思っている。
思えば私は子どもの頃からずっと、何も将来の夢がなかった。
親から「あなたは将来何になりたいの?」と訊かれることが苦痛だった。
その苦痛を覚えるのは、自分が将来のことを考える能力がない、ないしそれをサボっているからだと思い、しかしそれをすることができない自分にまた苦しさを覚えていた。
でも、今は思う。そもそも、私は将来のことを考えたくないし、考えられない人間なのだ。
それでいい。それで生きていくことはできる。
長くなったが、だから私は安定した会社を辞めて、ノリでフリーランスになってしまった。
実際フリーランスになってどうだったか?それはそれで、苦労した。
いろいろと苦労はあるけど、一番大きなものは、「仕事の単価がまったく上がらなかった」ということである。
まずフリーランスになる入り口としては自分になんの得意分野やマーケットで評価されるスキル・実績もなかったということがトリガーになっている。すなわち、セルフブランディングして、自分を売り込む商材がない。
そして、将来に対するビジョンもないから、「こういうフリーランスになっていきたい」というイメージを作ることが難しかった。
結果何が起こるかというと、単価が全く上がらない。正確にいうと、単価を上げるためのアプローチがわからないし、それを開発するのも困難に感じてしまうということである。
そもそも私の仕事の分野が「なんでも屋」であったということも関係していると思う。幸いにも、私はいろんな方からお仕事のお声がけをいただくことができ、仕事がなくて困ることはなかったが、一方で自分の意志で仕事を取りに行くということがほとんどなかった。これはなんでも屋という性質と私の気質のあわせ技の結果といえるかもしれない。
そして5年間は経ったが、単価はまったく上がらなかった。
結果として、私はフリーランスでこのまま生計を立てていくことは困難かもしれない、と思うようになった。
これが、なぜ今会社員として再び働こうとしているか、の理由の裏返しになる。
これは私の経験上の結論だが、フリーランスでいる限り、常に「自分が何をできるのか」の看板を掲げ、それをアップデートし、発信して案件をとりつつ、自らのスキルや看板をブラッシュアップしながら単価を上げていくことが必要だと思う。というか、それを楽しめる人であることが理想だろう。そのためには将来のイメージを持ちながら、そこに近づくために自らのキャリアや経験をビルドアップしていくことも欠かせない。
私はそれができなかった。
でも、後悔はない。
5年かかったが、その5年があったからこそ、自分の気質を理解して認めることができた。
どう働いて生きていくことが、少なくとも今の自分にとってはフィットしそうか、というイメージがつくようになった。
そして、その意思決定と選択に自信が持てるようになった。
このブログを読む方にとっては、もしかしたら「なんだそんなことで悩むのか」と思われる話かもしれない。私も自分でこれを書きながら、「なんでこんなことで悩んでたのかな」と思う部分もある。
しかし、人間はひとりひとり考え方も経験も違うし、置かれている環境も違う。
もし一人でも、このブログを読んで「ああ、そういう考えもあるんだな」と何かの参考になることがあればうれしく思う。
なお、会社員になるにあたり、私は9年ぶりに就活(転職活動ともいえるかも)を行った。これはこれでなかなか大変だったし苦労もした。
しかし結果的に、心から働きたいと思える組織、仕事と出会うことができて、ほんとうに良かったなーと思っている。
その話についてはまた機会があれば。